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癒縄 命羅のロープヒーリング

緊縛~癒しの力と美しさを求める人へ

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 存在証明7

存在証明 第7話


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とにかく、今は蜜柑である私、氏原時子は当時「陽だまりの家」という施設で人生の長い時間を過ごした。父が死に、母が精神を病んで入院したから。親戚の家をたらいまわしになった後の事だったけど、たらいは一年も回らなかった。施設に入ってからも勉強はした。とにかくした。高校も札幌市内の指折りの進学校に進み、奨学金をつかえば大学だって簡単にいけただろう。実際、先生も東北大学や北海道大学、早稲田、慶応などを薦めてくれた。でも私はどこか、ひっそり生きたかった。だから、学校に募集がきた中でわりと地味な仕事である今の仕事、の子会社を選んだ。だから、パンプスのせいで今は、足が臭い。シャワーに入ろうと決めた。
が、チャイムがなって、隣に住む七十五歳くらいのお爺さん「天野っち」の声がした。二日に一回くらいは必ず来る。笑ってしまうが、二人は仲良しだ。惣菜を結構やりとりしたり、一緒に映画を見に行ったりもするのだ。この前は青山にあるおしゃれなイタリアンを食べに二人で盛装して出かけたりもした。天野っちっていうこのお爺ちゃんは奥さんも先立ち、子供たちも殆ど遊びに来ない結構さみしがり屋の人だ。私はこの人が嫌いではない。すごく雰囲気がある。ダンディーでとてもお洒落。黒のスーツや青いワイシャツがとても似合うし、ロマンスグレーってこの人の為にある髪の表現だと思う。三月の中頃にこのアパートに越してきてから、すぐにオデンをやり取りして仲良くなった。味としては天野っちの方が濃い味で、私のは薄味でしかも出汁がサバ節なので天野っちには合わなかったかもしれない。でもとにかく、自然体のこの人は何か不思議な魅力を持っていた。いつも、スーツを着ているのも不思議だったが、とにかくオデンの味など、仲良くなるきっかけに過ぎなかった。

「時ちゃん、ノンアルコールビール買ったから、飲みにおいでよ。今日は、豆腐サラダと鶏ささみの生姜焼き、枝豆なんかもあるよ。」

 ドア越しに優しい声がして、私もついつい答えてしまう。

「あ、天野っち、じゃあ、昨日作った蕗と油上げの煮物もっていくね。ツナ缶も。」

 言ってから、足を洗ってない事に気がついたが、すでにそんなに臭くはなくなっていた。皮の匂いはしなかった。なので、心おきなく行くことにする。



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 裸足で上がりこんで、私は天野っちのきれいに整頓された部屋にいる。落ち着いたソファーとガラスのテーブル、程良い大きさのテレビとオーディオ。全体的に白と木目の部屋といっていいだろう。私の部屋とは全然違う。雑然さがないのだ。天野っちはきちっとしている。いつものように勝手に冷蔵庫を開けていい決まりで飲み物を出して、私達はバラエティー番組をみて笑った。ノンアルコールビールも四本飲んだ。私の蕗の煮物は好評で天野っちは殆ど一人で食べてしまった。ちなみに天野っちはグレン・フィディックっていうスコッチが好きらしい。スペイサイドっていうイギリスの清らかな水の流れる川の近くの蒸留所でつくられるお酒らしい。匂いは、とてもいい。爽やかで、甘くて、ある種の果物を思わせる優しい香りがした。私も飲みたくなったら、飲んでみると約束している。

「天野っちは、昔何して働いてたの。」

 天野っちはちょっと首を斜めに向けて、視線を上にむけて、唇を何となくとがらせてから、そのまま十五秒ほど停止して、急に話しだした。

「最初は商社だったな。バナナや薬なんかを輸入した。そうだ、まだ第二次世界大戦がおわってちょっとだったから、食糧の輸入は国家規模で必要だった。やればやるだけ利益がでる。そんな時代だったな。原油なんかも注目されていたが、私は担当ではなかったんでね。、ま、その後、女房の実家を継ぐものがいなかったんでね、パン屋になったんだ。」

「え。パン屋さんだったの、道理で料理おいしいと思った。じゃあ、今でも美味しいパン焼けたりするの?」

「まさか、とっくに忘れたよ。でもトースターでふつうに食パンを焼くことは出来そうな気がするよ。」

 私達は笑った。誰でも出来る。






 天野っちの意外な一面を見たのは、その次の土曜日だった。新宿のクラブに友達と踊りに行く予定だった私は、風林会館の裏側の路地を一人で歩いていた。夏の夕方は、新宿という欲望の街にも奇麗なオレンジや紫の空を見せている。私はビルの谷間から空を見て歩いていた。歌舞伎座というストリップ劇場の出入り口は、直接地下に降りる階段になっているが、そこに張ってあるポスターを眺めている天野っちの後ろ姿を発見した。見慣れた黒いスーツ、ロマンスグレー、慎重は一七五センチくらい。

「わー。なんか天野っち、やらしいぞーーーー。」

 私は無邪気に声をかけた。

「おお? 時ちゃん。びっくり。なに、ストリップ見にきたの?」

 な、わけないだろうと思った。

「いやいや、全然ちがうでしょう。天野っちは今、欲望に取りつかれた年老いた狼になっているんでしょう?」

 二人は笑った。とても爽やかな天野っちの笑顔が素敵だった。

「いや、時ちゃん。これこれ、このポスターさ、ここに納めにきたんだよ。知り合いの会社で納品のアルバイトしてるんだよ。」


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 天野っちの持っていたポスターはGX歌舞伎座 秋のSM週間と書いてあった。大きな写真で、今 至高さん、嵐 乱風さん、など私の全く知らない世界の方々のお顔がのっていた。嵐さんの下のほうにちょっとゾクッとするような艶のある横顔の小さな写真があった。「天飛 京」って書いてあった。

「アマトビキョウ?」
「あれ、京君と知り合いかい?」

 え、天野っちは知り合いなのかなって思った。

「天野っちは知り合いなの? この人達と。」

 天野っちは照れ臭そうに話だした。

「うん。まあ、年のこうというか、多少、江戸時代の古典緊縛を研究していた時代があってね。私自信はSでもないんだが、縛りを美しく見せるという事に魅力を感じていた時代はあったな。でも、もう枯れているし、まあ、この世界は先輩後輩を割りと大事にする世界だから、京君も結構話す事はあるよ。時ちゃんはどうして知り合いなのかな? 彼の絵本関係かい?」

絵本?

「絵本ってなに?」
「ああ、余計な事言ったか。」

 天野っちは軽快に笑った。元気なお年寄りだ。

「京君は子供向けに、クリスマス専門の絵本を描いているんだよ。なんだっけな、代表的な、結構売れた本あるんだけどな。」

「まさか、絵本でわかるイエス様?」

 天野っちは時代遅れのアクション。左手の平を上に向けて広げておいて、そこをハンコを押すようにポンと右手のグーで叩いた。

「それだね。たしか、最後に、人間の悪いことみんな天国にもっていってくれるみたいな終わりになっていたと思う。」





 私は、なぜだか知らないし、知りたくも、思い出したくもないのに、一気に両目から涙が溢れた。天野っちの前で、天野っちの顔を見ながら、顔が泣き顔になるでもなく、とにかく涙だけが流れていた。

 思い出したくない。こんなところで。

―「時子の卵焼きは、どうしてこんなに美味しいんだろうね。」
―「カレーライスは焦がすまで、温めると、焼きカレーになって違うおいしさがあるね。時子、そこの粉チーズかけて食べてみたら、とおっても美味しいよ。」
―「母さんね、時子がいつか真っ白なウエディングドレスをきて、綺麗な花束もって素敵な男性と教会を歩くところなんて見たら、飛び上がって喜んじゃうんだから。」

母は、母はいつも私に精いっぱい笑いかけてくれていた。それが出来る内は。
心がリフレインで叫んだ。


――誰か私を愛してください、お願いします。どうかお願いします。

 私は知らないうちに声を出して泣き崩れていた。







「あ、京君」

 私は、びっくりして上を見た。さっきポスターで見たその人が立っていた。劇場のなかで照明などの打ち合わせをしていたらしい。

「あれ、天野さん。女の子泣かせてはだめですよ。」

 天飛 京はとても渋い、落ち着いた声の持ち主で、幼いころの記憶で震えた私の魂に、声の楔を打ち込んだ。

「貴方の本のせいです。私が泣いたのは。」

 私はいってもしようがない事を口走った。

「私の七歳のクリスマスは、貴方の本だけが、心の支えになった日です。」

 京様は初めて、少し微笑んで、私の右手をとり、立ちあがらせてくれた。

 
「ほー。うれしいね。そういう温かい感想って凄く励みになるよ。でも今泣いていたけど?」

 天野っちが京様を誘い、ノアールという純喫茶に三人で行くことになりました。ノワールはクラッシックのかかっている喫茶店で、ガラス張りの二階から下を歩く人達が何となく絵画のように見えます。かかっていたのはドビッシーの月光という曲だったような気がしました。
 私は、まるで、優秀な心理カウンセラーやスピリチュアル・カウンセラーに話すが如く話続けました。父の事、学校の事、仕事の事や常務の事、天野っちにあって凄く落ち着いた生活になった事。それから母の事。最後の一人ぼっちのクリスマスの事。

 自分は特に取り柄もない、つまらない女だという事。誰にも愛されていると感じられないって本当は思っている事。神様なんていないって思っているくせに、神様に祈り続けていること。母が死んだ後も、母に会いたいと祈っていること。




 私ではなく、天野っちでもなく。京様が泣きだした。だから私も天野っちも泣きだした。ショパンのノクターン作品番号九の二が色鮮やかに流れていた。



 なんの事はない。この時、既に私の心は京様という心の支えに大きく傾き、そして、よりかかろうとしていたのだった。イトオシサの総てを賭けて。






続く




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セミロングの髪か、またはロングで、160センチ以下の細見から中肉の方、札幌及び近郊に限ります。
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世界の子供たちの為に。
日本の施設にいる子どもたちはまだ、幸せな方なのかもしれません。
京様のように世界の子供達に目を向けてみませんか?
下記参考アドレス

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